気になる本 01/31

平行植物 新装版 工作舎 レオ・レオーニ著 宮本淳訳

ちくま文庫版が入手困難だった架空生物本が新装版で再刊。絵本作家レオ・レオーニの想像力が生みだした様々な平行植物群。平行植物とは「時空のあわいに棲み、われらの知覚を退ける植物群(wikiより)」 これだけでは何のことかさっぱり分かりませんので、工作舎のHPで「Recommended Image」を見るのが手っ取り早いと思います。こういった植物のイラストとその生態、発見ストーリーなどが実しやかに語られます。

万葉仮名でよむ『万葉集』 岩波書店 石川九楊

書家の石井九楊氏が万葉仮名で書かれたオリジナルの「万葉集」を読み解き、日本語が生まれる過程を探る、という歴史好き・文学好きには非常に興味がそそられる本です。万葉仮名は、古代、まだ日本語表記方法が定まってなかった時代に、漢字から音を借りて書かれた文字です。万葉集はこの万葉仮名で書かれています。例えば大伴家持の有名な「おをによし」の歌は、

青丹吉 寧楽乃京師者 咲花乃 薫如 今盛有
(あをによし 奈良の都は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり)

というような表記をしました。今でも夜露死苦=よろしく、なんていう落書きがありますから、大昔の人と現代人の言語センスはそう変わらないのかもしれませんね(笑) おもしろいのは「二五」と書いて「とお」と読ませたり、「蜂音」と書いて「ぶ」と読ませたりするダジャレじみた例もあります。そういう事情があって、今でもどう読んでいいか分からない歌もあるそうです。本書で石井氏ならではの解釈が読めるかもしれません。