気になる本 02/01

銅像受難の近代 吉川弘文館 平瀬礼太

 鋳造され、破壊され、鋳直され、撤去され… 銅像から読み解く日本近現代史。時代にどういう人物と、その人物が体現する価値観が受け入れられ、それが時間の変化と共にどう変わっていったのか。正面から歴史を読み解く”大文字の歴史”も面白いけど、こういう普段意識しないモノから歴史を読み解くのは非常に面白そう。

プロローグ 銅像受難を語る前に
I 銅像建築ラッシュと銅像論(銅像とはどんなものなのか〈銅像の始まり/廃仏毀釈銅像と美術・社会/近代日本の銅像概観〉/初期の銅像大村益次郎西郷隆盛、そして元寇紀念碑/揶揄される銅像銅像の競技/鋳金論争!/長沼守敬と銅像製作/楠公銅像〉/初期の銅像批評〈雑誌『太陽』における銅像批評/高山×牛の銅像観/正岡子規銅像観/形像取締規則/引き続き銅像論流行り/荻原×山の銅像論〉以下細目略)
II 銅像たちの安住とその後(世俗化する銅像/波瀾万丈―西郷と伊藤/明治の終焉―多様化する銅像銅像イメージの定着)
III 銅像たちの戦争と応召(戦争の時代―銅像の栄枯盛衰/銅像応召の時代)
VI 銅像たちの戦後史(戦後の日本の銅像/元帥たちの戦後)
エピローグ 銅像受難に何を見るのか

連合赤軍物語紅炎 徳間文庫 山平重樹著

68年モノは無条件に気になる。あの世代の人がなぜあれほど革命に熱中し、多くの悲惨な事件を起こしたのか。理解するのは無理だと思うけど、当時の雰囲気だけでも味わえれば。筆者はアウトローものに定評のある人だけに、あの時代の残酷さ・過酷さが嫌というほど味わえそうだ。


その他、気になる本

青年・渋沢栄一の欧州体験 祥伝社新書 泉三郎著
なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか 祥伝社新書 牧野知弘著

新書を2冊。前者は1867年、遣欧使節団に随行した渋沢栄一が海外で何を見て、どんな刺激を受け、それを新国家建設に如何に生かしたかを読み解く。ここのところ元気のない日本だからいい刺激になるかも。後者は「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の二番煎じかな?確かに街中にあるおんぼろの不動産屋はよく持ちこたえているなぁと思う。ドロドロした内部事情が読めそうな気もする。

上田毅八郎の箱絵アート集 戦艦大和から零戦まで 草思社 上田毅八郎著

上田毅八郎さんはタミヤの戦艦プラモデルの箱絵を書いている方。本書は、これまでに書いた数千枚の絵から選りすぐった90枚を掲載した画集。プラモデルは特に関心はないけれど、こういう画集が出る人がいるのか。誰かが書いているに違いはないから、良く考えてみると当たり前なんだけど、ちょっと新鮮。