気になる本 02/11

スパイ・爆撃・監視カメラ 河出書房新社 永井良和

 目次がないので出版社の内容紹介ぐらいしか判断材料がないが、副題の「人が人を信じないということ」も合わせて判断すると、何だか面白う。読後に嫌な気分になるおそれも多分にあるが(笑)

人間が相互不信に陥ったとき、何が起こるのか――。左翼の地下活動から、無差別爆撃、プライベート・セキュリティをめぐる技術開発までを一筋に描いてみせる、いまだかつてない社会史。


宇宙をめざした北斎 日本経済新聞出版社 内田千鶴子著

 北斎の代表作「神奈川沖浪裏」の崩れる波の形は、普通の人間の目では確認困難だが、ハイスピードカメラを通して撮影した波の形を実に正確に描写しているという。本書はその「波」をキーワードに北斎の代表作を読み解く試み。北斎論は多くあるが、面白そうな着眼点だ。

著者は、前作『写楽を追え』で写楽の謎を解き明かした江戸文化研究家。カラー、モノクロ挿図90余点収録しています。
 
名作「神奈川沖浪裏」誕生の背景に房総の彫物大工“波の伊八”との出会いがあった。「隅田川両岸一覧」や馬琴の読本挿絵、「北斎漫画」ほか代表作中心に晩年の小布施祭屋台「怒濤図」まで、波を主題に天才絵師の足跡を追う。
 
序   写実と幻想の狭間で
第1章 小布施祭屋台の天井画の意味と狙い
第2章 西洋画風への目覚めと抒情性
第3章 読本作者・馬琴との出会い
第4章 房総の波に魅せられた北斎
第5章 庶民の真の姿を捉えた「北斎漫画」
第6章 風景画の決定版「冨嶽三十六景」
第7章 シーボルト事件の後遺症
第8章 北斎−−もう一つの思い
あとがき