気になる本 02/19

岩崎彌太郎 治世の能吏、乱世の姦雄 吉川弘文館 小林正彬著

岩崎弥太郎といえば、去年のNHK大河ドラマ龍馬伝」の香川照之の顔が思い浮かぶほど、香川による造形は強烈な印象を残した。三菱側から抗議があったとかなかったとか。果たして実際の岩崎弥太郎はどういう人物だったのだろうか。

幕末から明治へ、わずか20年で「三菱」を築いた岩崎彌太郎。土佐の地下浪人に生まれた彼は、いかにして“創業者”となりえたのか。自らを「治世の能吏、乱世の姦雄」と評した波乱の生涯を、坂本龍馬・グラバーらとの関係や、二代彌之助・三代久彌への影響にも触れ、新史料を交えて精確に描く。数多くの伝記を正し、実像を浮き彫りにする決定版。
 
土佐安芸の岩崎家(土佐安芸/地下浪人/岩崎の家系)/少壮期と母美和(幼少期/師との関係/彌太郎と馬之助)/江戸遊学と父の事件(分家との争い/彌二郎殴打事件/彌太郎入牢)/土佐開成館で武士へ(吉田東洋の推薦/後藤象二郎の下で/彌太郎の日記から/坂本龍馬海援隊)/海運育成と三菱商会(維新後の彌太郎日記/九十九商会引受け/三菱商会と政府助成/トーマス・グラバー)/第一、第二命令書と高島買収(第一命令書発令/立社体裁と米・英船への挑戦/第二命令書と高島買収/米英船排除の前と後/「明治一四年の政変」)以下細目略/第三命令書と共同運輸設立/遺言と彌之助・久彌/豊川良平と経営陣/彌太郎の教養と戦略/二代社長―継承と再編/三代社長―多角化へ始動/補章 文献解題


ドナルド・キーン自伝 中公文庫 ドナルド・キーン著 角地幸男訳

日本文学を英語文化圏に紹介した日本文学の伝道師、ドナルド・キーンの自伝。「私と20世紀のクロニクル」(2007年刊)の改題。戦後の文学者(三島由紀夫谷崎潤一郎川端康成安部公房など)とも実際に交流があった人なので、彼らとのエピソードも興味深い。

私の人生は、信じられないほどの幸運に満ちていた――日本文化を世界に紹介して半世紀、三島由紀夫らとの交遊を描き、大反響を呼んだ決定版自叙伝。